大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島高等裁判所 昭和31年(ネ)231号 判決

大阪府茨木市大字下中条百三十八番地

控訴人

因幡材木 株式会社

右代表者清算人

米井信次郎

右訴訟代理人弁護士

三宅為一

広島市霞町

被控訴人

広島国税局長

竹村忠一

右指定代理人

大蔵事務官 米沢久雄

笠行文三郎

森田政治

田原広

常本一三

右指定代理人

広島法務局長 西本寿喜

右当事者間の昭和三十一年(ネ)第二三一号行政処分取消請求控訴事件につき、当裁判所は次の通り判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人が昭和三十年四月二十一日なした控訴人の審査請求を棄却する旨の決定を取消す、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする、」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、控訴代理人において次の通り述べた外、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

原告分庁の否認合計額は更正決定額金二百七万五千五百円より申告所得金額八十八万七千六百一円を差引いた金百十八万七千八百九十九円であるところ、協議団の否認合計額は本件審査決定理由記載の如く金百十七万八千六百二十八円であつて、原処分庁の否認額とは金九千二百七十一円の相違がある。従つて、被控訴人は控訴人の主張の一部を認めているのであるから、一部棄却の決定をなすべきであるのに、全部棄却の決定をなしたのは違法である。

理由

当裁判所は、控訴人の本訴請求を失当として棄却すべきものと認める。そして、その理由は、以下に附加する外、原判決理由に判示せられたところと同様であるからこれを引用する。

成立に争のない甲第二号証、甲第四号証から第六号証までを綜合すれば、本件審査決定は、その理由において控訴人の審査請求書に不服とせられた部分について判断したに過ぎず、鳥取税務署長のなした更正決定と異なる金額を認定したものではなく、審査の請求の目的となつた右更正決定を全部是認したものであることは明白である。従つて、控訴人の審査の請求を全部棄却した本件審査決定は相当であつて、当審における控訴人の主張もまた理由がない。

よつて、原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条、第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 岡田建治 裁判官 佐伯欽治 裁判官 松本冬樹)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例